気軽に、身近に音楽に親しんでほしい。
私の演奏活動の一つのテーマです。
小さい頃から夏になると、札幌芸術の森へと出かけていました。お目当てはPMF(国際教育音楽祭 パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌)。野外ステージのピクニックコンサートを聴くためです。実家からそう遠くない場所で、一流の音楽に触れられたことは、今にして思えばとても大きな経験だったと感じますが、そのPMFに後年、アカデミー生として二度も参加することになるとは、もちろん当時は考えてもいませんでした。
初めて参加した2006年はワレリー・ゲルギエフ、次の2010年にはファビオ・ルイージと、ロシア、イタリアを代表する世界的指揮者のもとで演奏できたほか、ウィーン・フィルハーモニーのコンサートマスター(当時)、ウェルナー・ヒンクさんらと室内楽を演奏するなど貴重な体験をすることができました。南区に住んでいなかったら、こうした機会も得られなかったかもしれませんね。
両親とも日頃からクラシックに親しむ環境のなか、ピアノを弾く母の勧めで4歳からヴァイオリンを習い始めました。物心がついた時にはヴァイオリンに触っていたという感覚です。もっとも、練習はあまり好きではありませんでした(笑)。
ただ、レッスンを強要するのではなく、自然に学ばせてもらえたお陰で、ヴァイオリン自体を嫌いになったことは、今日まで一度もないんです。
だからこそ、高校で進路を決める時にも迷わず、ずっと続けてきたヴァイオリン(音楽)を活かせる道に進みたいと考え、北海道教育大学の音楽コースに進みました。大学では、学校が提携するベルゲン大学グリーグアカデミー(ノルウェー)のゲストスチューデントとして1年間、留学を経験。北欧の文化に触れると同時に、自然環境など似通ったところのある札幌での自分の活動について、ある意味、客観的に考える契機にもなった気がします。
大学在学中から、先輩の誘いなどを受けて少しつ演奏活動を始め、卒業後は基本的にフリーランスの演奏家として活動を続けています。PMFから演奏依頼をいただいたり、オーケストラへの客演の他、室内楽やソロの公演で幅広く演奏させていただいております。
大学卒業後から音楽教室の講師のほか、個人レッスンも行うなど、忙しい日々を送っていました。そんななかで発生したコロナ禍。現在(2021年度末)は、演奏活動も通常に戻りつつありますが、一時期は文字通りゼロに。そこで、新しい試みとして演奏仲間と動画配信にもチャレンジしました。コロナの余波は、予想以上に大きいものでしたが、お陰で未知の試みに踏み出すことができるなど、プラスにもなったと思っています。
私は現在、〝いつでもどこでも音楽を〞をコンセプトに活動する、「奏楽(そら)」というアンサンブルグループにも参加しており、イベント会場はもとより学校、幼稚園など、さまざまな場所で演奏を行っています。札幌だけでなく、道内各地に出向いて室内楽の公演などを行っていることが「奏楽」の特徴。クラシックなどの生演奏を普段はあまり聴く機会のない地域に出向き、もっと身近に、音楽を感じていただける活動がしたいという自分自身の思いもあり、より力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
徒歩圏にある120席のホール。
こうした場所が増えてほしい。
自宅の近くに、北海道のお菓子メーカーが運営する真駒内六花亭ホールがあります。120席ほどの、クオリティの高いホールで、定期的に演奏会が行われており、私も時々、聴きに行っています。近所に素晴らしいホールがあることが、私の南区自慢!こうしたスペースが増え、もっと気軽に音楽に親しめるようになればいいですね。
演奏する側としては、たとえばカフェとか商業施設の一角等々、積極的に音楽を伝える場をつくりたいと思っているところです。(談)
北海道教育大学札幌校 芸術文化課程音楽コース卒業 | |
2002~2003年 | ベルゲン大学 グリーグアカデミーに留学 |
2006年/2010年 | PMF (国際教育音楽祭 パシフィック・ミュージック・ フェス ティバル札幌)に オーケストラアカデミー生として参加 2010年の東京公演ではコンサートマスターを務める |
2010年~ | 北海道文化財団HAFアーティストとして活動 |
2019年 | フィリピン・マニラにてフィリピン・ フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会にソリストとして出演 |
2021年 | NHK札幌放送局主催『北の文芸館』公開収録に出演 |
ヴァイオリンを故・井上需、内田輝、V. ディ. パスクァーレ、R. オドゥリオゾーラ、鎌田泉の各氏に、室内楽を内田輝、文屋治実、鎌田泉、大平由美子、大山平一郎の各氏に師事。
現在、ソロや室内楽、オーケストラなどで活動する一方、後進の指導も行っている。
弦楽四重奏団 クァルテット・ポッポ、アンサンブル グループ奏楽(そら)
各メンバー
E-mail kanana0301violin@gmail.com
https://sapporo-minami-artfes.jp/artists-file/1647